今、日本人はどのような皇室の未来図を選ぶか、
岐路に立たされている。以下の3つの未来図だ。①消滅
②変質
③安定①は、今の皇室典範が改正されずに
そのまま維持された場合。未婚の女性皇族はご結婚と共に皇室から次々と離れられる。
未婚のまま皇室に残られても次世代は生まれない。
なので、皇室は痩せ細って行くしかない。そのような未来が予め見えていて、しかも、
悠仁親王殿下のご結婚相手は必ず男子を
生まなければならないという、想像を絶する重圧が避けられない。
そのような皇室に、敢えて嫁ごうとする女性が
国民の中から現れるのは、畏れ多いが至難だろう。そうすると、皇室典範は手つかずで残っても、
皇室それ自体は悠仁殿下の代を最後に、消滅する他ない。
勿論、宮内庁や皇宮警察本部などの役所も、無用となる。
皇居は広大な空き地になるか、それとも高層ビルが林立するか。さすがにこのシナリオはあり得ないと思っていた。
だが、昨年から今年にかけての「立法府の総意」作りを
巡る迷走ぶりを見ていると、不安を拭えない。
問題解決の先延ばしが延々と繰り返される悪夢も、
可能性がゼロとは断定できない気がして来た。②は、国会の全体会議での議論の土台とされている
有識者会議報告書(令和3年)の提案が、
ほぼそのまま制度化された場合。
皇室はこれまでの姿を一変させる結果になる。何しろ皇室の中に、「国民」がそのまま
混在することになるからだ。
内親王·女王の配偶者やお子さまだ。
更に、心情的·生命的な結合と言うべき婚姻を介さないで、
親の代から既に一般国民だった男性が「養子縁組」
という法的手続きだけで皇族の身分を得る。
しかも、その男性は皇族の身分を与えられても、
皇位継承資格は認められない。その結果、これまで天皇(及び上皇)と
皇族のみによって構成されていた皇室が、
以下のような多様な方々を内部に抱える、
モザイクのような状態に変質する。(a)皇位継承資格を持つ男性皇族
(b)皇位継承資格を持たない男性皇族
(c)皇位継承資格を持たない女性皇族
(d)内親王·女王の配偶者やお子さまでいらっしゃる一般国民。このような状態で、果たして皇室や宮家としての
“一体性”は確保できるのだろうか。
国民としても、全く様変わりし変質した皇室に、
これまで通り素直な敬愛の気持ちを
抱くことができるのだろうか。特に、モザイク状に変質した“いびつ”な
皇室をもたらす原因が、現代の普遍的な価値観とは
全く相容れない「男尊女卑」の考え方なので、
国民にとってはますます違和感を深める結果になるだろう。
このシナリオの場合、たとえ制度化されても、
そもそも実際に機能するか疑問が残る。③は、小泉純一郎内閣に設置された
「皇室典範に関する有識者会議」報告書(平成17年)の
提案が制度化された場合。内親王·女王にも皇位継承資格が認められ、
その配偶者やお子さまも当然、皇族とされる。
お子さまにも皇位継承資格が認められるので、
皇位継承の将来は格段に安定化することが期待できる。
皇位継承順序は、男女の性別に関係なく直系優先の原則が
貫徹される。
その為に、天皇、皇后のお気持ちやお考えが
次の時代にしっかりと受け継がれやすくなる。具体的に令和の皇室では、愛子皇太子→次代の天皇
という皇位継承が実現する。
皇位継承ルールが国民の普通の価値観と
合致することとも相俟って、「国民統合の象徴」
として皇室への敬愛がより深まるだろう。日本人は上記①②③のどれを選ぶか。
国民の多くは漠然と③を望んでいるのではないか。しかし、政界の状況は楽観を許さない。
①と②の間で揺れ動いているように見える。
第一歩として②をどれだけ③に近づけることができるか。
内親王殿下方のご年齢を考えると、もはや時間の猶予はない。
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